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迷宮市場
早く起きる必要がない日に限って早く目が覚めてしまう。
昨日の過度な運動の影響で深く眠れなかったのだろう。
しかし筋肉痛にはなっていない。
普段から鍛えておいてよかった。
バルコニーのドアを開け、外の空気を部屋に取り込む。
すでに暑い。蒸されたような湿り気を感じる。
天気は素晴らしい。
この川ビューも最高だ。
昨日買ったコンビニメシや、部屋にある無料の食べ物で朝食。
あらゆる電子機器を順番に充電しつつ、荷物を整えたりこれから向かう場所の情報を集めたり。
とにかく時間が限られているため、常に何かしらの作業を同時並行で進めていく。
11時前にはチェックアウト。
ホテルのおばちゃんにお礼だけ言って出発。
本当に良いホテルだった。
この先、これよりグレードの高い宿は出てこない。
一番最初に、最も快適な場所で過ごしてしまったわけだ。
あと7日、腹を括ろう。
外に出た途端、雨が降り出した。
晴れているのに中途半端に降っている。
折り畳み傘を差したり閉じたり…煩わしくなってくる。
スコールのような激しい雨ではないため差さなくても問題ない。
本日の目的地はバンコク最大の市場。
バスに乗って向かう。
いつものごとく時刻表のないバス停で待機。
しばらく待っていたら乗りたい番号のバスが現れて安堵。
料金はたったの17THB、約80円。
昼間は渋滞もなく、バスに乗るのが安くて便利だ。
バスの集金係は今までおばちゃんしか見たことがなかったが、このバスは若いお兄さんだった。
30分ほどバスに揺られ、チャトチャック市場に到着。
毎週末に20万人以上が訪れるという巨大市場に潜入してこよう。
コインロッカーにバックパックを預けるつもりでいたが、高かったため断念。
背負ったままでの散策を覚悟。
広大な敷地内にびっしりと店が並び、何本も細い通路がのびている。
ほぼ迷路状態で、よほどの記憶力と方向感覚がない限り「あとでまたここに戻ってこよう」は不可能だ。
そのため欲しいと思ったら即決しなければならない。
エリアによって店のジャンルやテイストが違うようで、買いたいものがあるなら予習してから行った方が効率良く回れると思う。
検索すれば市場を徹底解説したサイトがいくつか出てくるため、そこに載っている地図などが参考になる。
あまりにも広く、すべてをくまなく見て回るには3日くらいかかるのではないだろうか。
歩いているだけで面白いのは間違いない。
昼食を食べる場所を探す。
どこも高めの観光地価格になっており、市場内をしばらく彷徨う。
その中でもリーズナブルで雰囲気も良さそうな店を発見し、一瞬立ち止まるとすかさず店のお姉さんに声をかけられたためそのまま奥へ。
市場の裏手の細い空間に案内される。
年季の入ったテーブルと椅子、この狭くて賑わっている感じがとても良い。
メニューが豊富でかなり迷いつつ、結局パッタイに。
前回も食べており、パッタイが相当好きなのだと思う。
エビやイカがプリプリでとても美味しい。
やはり添えられている粉砕ナッツが名脇役。
どこで食べてもパッタイは裏切らない |
市場散策の続きへ。
パスポートケースを自分好みにカスタムできる店があるというのを聞き、とても気になっていた。
タイムリミットも迫ってきたため急いで行ってみよう。
ケースの色は豊富で、好きなパーツを付けたり、無料で名前を入れてくれたりするらしい。
合皮のテカった質感のものが多い中で、本革で味のあるケースを発見。
これは掘り出し物だと思い、それに小さな地球儀のパーツと名前のタグを付けてもらうことに。
値段を聞いたら200THBで、まさかの手持ちの現金が足りない。(キャッシュオンリー)
そうか、見ていたのはあくまでも合皮の値段で、本革だと少し高いのか…!
すぐ両替して戻ってくると伝え、近くの両替ショップにダッシュ。
外は打ちつけるような雨。
突然降り出したようだ。
若干雨に濡れながら店に戻って無事支払い、完成品を受け取る。
900円でこのクオリティ、しかもオリジナル。
とても満足感の高い買い物ができた。
チャトチャック市場に訪れる際にはおすすめだ。
そうこうしているうちにかなり時間が押している。
最後に、すっかりハマってしまったタイティーを飲んで帰ろう。
"プレミアム"と銘打たれた大変美味なタイティーを飲める店があるらしい。
さすが高級感漂う店構え。
店の雰囲気とマッチしすぎている端正な顔立ちのお兄さんが華麗にティーを注ぎ、なんと金粉までパラパラと振りかけてくれるではないか。
まさにプレミアムだ。
とはいえ1杯400円と良心的。
美味しさを噛み締めながら飲み干し、市場をあとにした。
金粉が舞っている瞬間 |
これから寝台列車に乗る駅へ向かう。
歩くつもりだったが、激しい雷雨のため1駅だけ地下鉄に乗ることに。
16時間耐久
クルンテープ・アピワット中央駅。
駅構内は空港かと思うほど広く、長距離列車の乗り場は奥の奥まで進んだところにあった。
待っている人がとても多い。
みんな寝台列車に乗るのだろうか。
駅の売店でパンと水を調達し、事前に印刷しておいた乗車チケットを手元に用意。
発車20分前からホームへの入場が始まり、並んで順番を待つ。
改札にバーコードをかざすだけで無事に中に入ることができた。
ボックス席で、上段の寝台利用者と下段の寝台利用者が向かい合って座る形になっている。
寝台がセッティングされると、上段は窓なし、下段はそのまま車窓を眺められるという差が生じるため、下段の方がわずかに値段が高くなっている。
外の様子を見ることができないと色々支障がありそうな気がして、下段を予約していた。
初めて乗る寝台列車が海外とは |
自分の席に着いてすぐ、少年2人組に声をかけられた。
席間違ってますよと言われているのかと思い、いやいや私はこの席だよとチケットを見せる。
しかしどうやらそうではなく席をチェンジして欲しいと言っているらしい。
いやいやこちらは1ヵ月前に予約して下段の端の席を確保したのだよ…と思っていたら、少年たちは通路を挟んで向かい側の女の子にも同じことを言い始めた。
その女の子はすんなり了承し、私の向かいの席に移ってきた。
ん?そういうことか。
少年2人はそれぞれ上段の寝台を予約しており、向かい合わせで座ることができない。
だから寝台がセッティングされるまでの間だけ、席を替わってくれないかと言っていたのだ。
さすがに現地の言葉で喋りかけられると意味を理解するまでに時間がかかる。
それにしても私が現地人に見えたのだろうか。
案外馴染めているのかもしれない。
誰と向かい合わせになるかは若干不安だったが、私より明らかに若い女の子になるとは。
少年2人も然り、かなり若い子が乗っているというのは意外だった。
列車は定刻で発車。
車内でチケットの確認があった。
冷房が恐ろしく効いており、パーカーを引っ張り出して着込む。
途中の駅で停まると売り子が乗り込んできて、車両の端から端まで叫びながら練り歩く。
まだ時間も早いため、食事というよりも袋に入ったお菓子のようなものが多めの印象。
しばらく様子を見よう。
向かいの女の子はipadで動画を見始めた。
私は使ったお金の計算(円換算)と、今日の出来事をメモ。
チャトチャック市場にはあと2時間くらいいても飽きなかっただろうな、などと思いつつ忘れないうちにしっかり記録する。
窓の外を眺めていたら、そこかしこに牛が。
寝転がったり草をはんだりと自由だ。
特にこれといった絶景が広がっているわけではないものの、定期的に牛が出現するため見ていて飽きない。
次の停車駅で乗ってきた売り子は、弁当やおかず系の食べ物を中心に売っている模様。
周りの乗客が一斉に動き出す。
すかさず売り子を呼び止め、何かを買っている。
寝台列車を日常的に利用している人は食べ物のラインナップや買うタイミングを熟知しているのか…
ようやくシステムが分かってきた。
次の売り子が来たら買ってみようかな…
18時半頃から寝台のセッティングが始まった。
荷物を持って一時的に通路へ退避。
スタッフが2分ほどで上下の寝台とシーツ類をメイキングしてくれるという神業。
目隠しのカーテンをフックで引っかけて完了。
早速自分の寝台に上がってみる。
カーテンを閉めれば窓付きの狭小個室になる。
狭いもののしっかり脚をのばすことができる。
身長170cmくらいまででギリギリかもしれない。
カーテンの隙間からわずかに漏れる通路の明かり以外に光はなく、とても暗い。
次の停車駅でまたしても売り子が乗ってきた。
甘い系や弁当的なものもある…
やはりそれが何なのかは全く分からない。
そして一瞬で通り過ぎて行ってしまうため呼び止めるタイミングが難しい…!
結局また何も買えなかった…
とりあえず売店で買っておいたパンを食べよう。
ほのかな期待を抱きながら次の駅に停車。
売り子ゼロ。
なんてこった…
これはもう諦めるしかないのか…
売り子から何も買えなかったことを悔やみつつ、事前にダウンロードしておいた動画を見たりポッドキャストを聴いたり、珍しくゆったりした時間を過ごす。
暗すぎて、それくらいしかできることがない。
21時頃にはタイの細い部分を通過。
列車は海沿いをひた走る。
時々リゾート地が出現し、その周辺を走っているときは外が明るくなる。
夜更かししても仕方ないため、そろそろ寝よう。
まだトイレを確認していなかった。
歯も磨きたい。
バックパックに南京錠をかけてしっかりカーテンを閉め、寝台を離れて見に行ってみる。
なるほど…
トイレは和式の垂れ流し。
すぐ下には線路が見える。(!)
紙も自然に還す方式と考えていいのだろうか…
何か物を落としてしまったら線路に置き去りになる。
そしてかなり揺れる。
これほど緊張感があって難易度の高いトイレは珍しい。
ビュンビュンと聞こえるほど風が入ってくる格子窓が付いており、換気は抜群。
洗面台の水で歯を磨くのはためらわれたため、持参のペットボトルの水を使う。
壁にもたれて背中を支えつつ、揺れに耐えながら歯を磨く。
明日の朝も同じことをやるのか…
いや、もう何も考えないようにしよう。
なんだか一気に疲れてしまった。
寝台に戻り、荷物をある程度まとめて寝るスペースを確保する。
何時に寝台が片付けられてしまうのか全く分からないため、明日は早めに起きた方がよさそうだ。
22時、周りはすでに静まり返っている。
朝起きたらどんな風景が広がっているだろうか。
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