朝活その3
最終日。
昼過ぎの便で帰るため、朝から分刻みのスケジュールで動く。
少しでも何かが狂うとまずい。
行き先、距離、所要時間、交通状況…
昨晩頭の中でぐるぐる考え、香港ならどうにかなると判断。
さっさと荷物をまとめて、思い切って行ってみよう。
8時、開店と同時に一番乗りで駆け込んだのは魚介粥の有名店。
英語のメニューがあり、なんとなくイメージした上で注文することができた。
丸見えの厨房で調理してもらっている様子をうかがえる。
やはりお茶碗サイズの深さのあるうつわにお粥がなみなみと。
「魚片牛肉 Fish(slices)&Beef」を指差して頼んだが、おそらくこれはその上にあった「魚片肉丸 Fish(slices)&Pork meat balls」。
明らかに肉団子だった。
結局何を食べても美味いのだから、違っていても気にしない。
値段も同じだ。
連日負担をかけてきた胃にお粥を染み渡らせる。
魚のダシが効いていて、お粥とは思えないリッチな味がする。
急いでいるときに限ってこんな熱いものを…
ゆっくり味わう暇もなく、熱々を必死にすする。
しっかりエネルギーをチャージして、本日の目的地へ。
九龍城
ここからはバス。
もちろん2階に上がる。
通勤の時間帯、足早に通りを行き交う人びとを眺めながら北へ向かって移動。
到着したのは九龍寨城公園。
これまで見てきた香港とは打って変わって、昔の中国にタイムスリップしたかのような景色が広がっている。
謎の音楽に合わせて淡々と踊るおばさまたち…(あまりにもシュールだった)
手のひらをまっすぐ伸ばしながら木の周りをゆっくりぐるぐる回る集団…
手のひらをまっすぐ伸ばしながら木の周りをゆっくりぐるぐる回る集団…
何かしらの健康法だとは思うが、視界に入ると二度見せずにはいられない。
ここはかつて、違法建築が繰り返され、無法地帯と化していた場所。
ひとことでは説明できないほど複雑な歴史的背景があり、「東洋の魔窟」とも呼ばれたかなりヤバい伝説の地だったのだ。
一帯が取り壊されたのち、再開発によってこの公園が作られた。
こんなに長閑で趣を感じる公園が、世界最狂のスラム街だったなんて信じられるだろうか。
城砦を再現した模型や当時の写真の展示があり、ワクワクが止まらない。
実物をこの目で見てみたかったなぁ…
最後に、ギリギリのスケジュールを組んででもここまで来てよかった。
さて。急いで帰ろう。
経路検索で出てきた番号のバスが奇跡的なタイミングで現れ、飛び乗る。
2階建てバスばかり乗ってきたが、今回はまさかのミニバス。
狭い車内で地元民に挟まれ、2階建てにはないローカル感を味わう。
さらば香港
地下鉄に乗り換え、九龍駅へ帰還。
危うい行程を無事に乗り越えた達成感たるや。
これでどうにか空港まで辿り着けそうだ。
エアポートエクスプレスはやはり快適。
初日に往復分のチケットを買っていたので、QRコードをかざすだけで乗車できた。
オンラインチェックインでカウンターには寄らず、保安検査も一瞬で完了。
今いるターミナルが一番広くて店も充実しているようなので、本当はここで少しお土産を買いたいところ。
しかし搭乗口は別ターミナルで時間の余裕もない。
これはもう移動するしかないか…
シャトルトレインで移動。
やはりこっちのターミナルは…店が少ない…
お土産があまりにもショボくてどうしようかと悩んでいたところ、店のおばちゃんが英語でいろいろ喋りかけてくれる。
結局、おばちゃんおすすめのクッキーを購入し、急いで搭乗口付近へ向かう。
(後日、お土産を渡した人から、「あのクッキー美味しかったよ」とわざわざ感想をもらった。1人だけでなく3人も。おばちゃん、ショボいとか言ってごめん。好評でした。)
あれ、見たことある人…
行きも同じ便に乗っていた日本人女子2人組、全く同じ日程で香港を巡っていた模様。
LCCあるあるだが、なぜか少し仲間意識と安心感が芽生える。
やはり日本人はごくわずか。
香港から九州旅行に行く人が圧倒的多数なのかもしれない。
4日間のあれこれを文章に書き起こしていく。
撮った写真は650枚。
これは本当にただの趣味なんだろうか。
まだまだ旅は続く。
マイベストオブアジア
日本に帰る途中でもうすでに、また行きたいと思い始めていた。
日本にいるときよりストレスがなかった。
それほど香港は居心地が良かったし、自分に合っていたと思う。
「きっとぶっ刺さると思うよ」
師匠の言葉は本当だった。
優しすぎず冷たすぎず、さっぱりとした距離感の人びと。
すべてがちょうど良く、独特の空気を纏った街だった。
また、戻って来よう。
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